白鷺木工

以前、『民藝の教科書③ 木と漆』という本を出版したことがあります。
全国の漆器の産地を訪問して、取材したのですが、注目されるのは塗師(漆塗りの工程に携わる職人)ばかりでした。

そのなかで記憶に残ったのが、“木地の山中”と呼ばれる石川の山中漆器の存在でした。
だから、木器をつくるなら山中で、と思っていました。

山が目前に迫る、周辺には丸太が積まれた工房で、木が削られる音を聞きながら、私たちの「汁椀」ができあがるのを眺めていました。

大胆かつ細心に。

職人たちのたくましい腕から生まれたうつわは、なんともあたたかいのです。

あたら-もの ディレクター 萩原 健太郎