長崎県
楕円皿
光春窯
使い勝手に優れる、普遍的なデザイン
カレーやシチューから焼き魚などまで、一枚でさまざまな使い方ができるお皿とは?
丸なのか、四角なのか、それとも……時間をかけて検討しました。
結論に至ったのが、深みのある楕円。
でも、この楕円、ただの楕円ではありません。「スーパー楕円」といいます。
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長崎県
光春窯
長崎県
光春窯
使い勝手に優れる、普遍的なデザイン
カレーやシチューから焼き魚などまで、一枚でさまざまな使い方ができるお皿とは?
丸なのか、四角なのか、それとも……時間をかけて検討しました。
結論に至ったのが、深みのある楕円。
でも、この楕円、ただの楕円ではありません。「スーパー楕円」といいます。
実はこのスーパー楕円、食器のために考えられたわけではありません。
1950年代、スウェーデンの首都、ストックホルムのセルゲル広場は、慢性的な交通渋滞に悩まされていました。
そこで、デンマーク人のピート・ハインは、楕円と長方形の中間のような形状を編み出し、自動車のハンドリングがスムーズになり、渋滞の解消につながったのです。
スーパー楕円は、その後、競技場や家具、照明器具、トレイなど、さまざまなものに応用されました。
機能美に優れ、普遍的なかたちは、万物に通ずるのです。
色の話もさせてください。
現代の波佐見焼は、透き通るような白が特徴ですが、【あたら‐もの 楕円皿】【あたら‐もの くらわんか碗】では、江戸時代の後期から波佐見焼でつくられた「コンプラ瓶」を参考に、あえて鉄分を含んだグレーがかった土を選びました。そして、濃淡が感じられる青色と合わせたのです。
古風で懐かしい感じがしませんか?
工程のなかで一番難しいのは、塗りです。
刷毛で塗っていくのですが、当て方、力加減によって、色の濃淡や、塗りムラがあらわれます。
そうした個体ごとの違いも、また楽しみなのです。
波佐見焼の始まりは、17世紀の初頭のこと。
隣接する佐賀の有田焼で磁器が焼かれ始めた時期とほぼ同じといわれています。
その後、17世紀の中頃には、世界へ輸出されるようになり、17世紀の末頃からは、くらわんか碗などの日用の食器がつくられるようになりました。
現在も型屋、生地屋、窯元、商社といった分業制のもと、日々の食卓に並ぶあらゆる種類の食器を大量生産しています。
波佐見町のなかで、多くの窯元が根を下ろす中尾山。そのうちの一つが、「光春窯」です。
創業は1984年と比較的新しいのですが、「日々の食事、日々の食卓を楽しむ器」をテーマに、伝統を受け継ぎながらも、普段使いしやすいシンプルなうつわを今日もつくり続けています。
余談ですが、波佐見焼が舞台の漫画『青の花 器の森』は、光春窯を取材して、描かれているそうです。